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「ニューノーマル時代におけるカーディーラーマーケティング&セールスの理想像」セミナーレポート

「ニューノーマル時代におけるカーディーラーマーケティング&セールスの理想像」セミナーレポート

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西口 恒一郎
モビリティインダストリーグループ マネージャー
株式会社リブ・コンサルティング

本記事は、2021年3月19日に実施したセミナー「これからの時代の自動車の販売方法 ~最新テクノロジーを活用したセールス&マーケティング~」において、カーディーラーのコンサルティングを行っている株式会社リブ・コンサルティングの西口様にお話いただいた内容です。
今すぐ参考にできる事例や取り組みばかりですので、ぜひ最後までご一読ください。

登壇者:
株式会社リブ・コンサルティング
西口 恒一郎さま
https://www.libcon.co.jp/

リブ・コンサルティングとは

株式会社リブ・コンサルティングの西口です、本日はよろしくお願い致します。講演内容へ移る前に、まずは会社概要について簡単に説明させてください。

当社は、 “100年後の世界を良くする会社を増やす”ことを企業理念に掲げ、社名の通り、全国のカーディーラー様に向けた経営コンサルティングを生業とする企業です。過去に支援させていただいたカーディーラー様は累計で約200社、プロジェクト数は累計で6,500PJで、現在も常時100~150ほどのプロジェクトがアクティブに運行しています。今回のテーマにある、マーケティングやセールスの領域に強みを持つのがリブ・コンサルティングです。

私自身はリブ・コンサルティングに入社して丸6年が経ちますが、一貫して全国のカーディーラー様のマーケティングやセールスを担当してきました。一社でも多くの販売店様が、100年後の世界を良くする会社になっていただきたい。そんな思いで日々、仕事に従事しております。

本講演では、第一章から第三章と大きく3つのアジェンダで進行させていただきますが、メインは第二章の「デジタルマーケティング&セールス領域におけるKSF」です。直近のキーワードであるデジタルマーケティングやオンラインセールスにおいて、当社の実体験や考えも踏まえつつ、重要なポイントをお伝えします。

「2020年 コロナ禍での経営環境の変化」

第一章では、昨年の振り返りも含め、経営環境の変化についてご説明させていただきます。2020年最大のトピックは、何と言っても世界中を襲った新型コロナウイルスでしょう。コロナの感染拡大によって自動車販売業界、消費社会には次のような変化が訪れました。

まずはワークスタイル。自粛による短時間営業、在宅勤務の導入、オンライン会議、店舗の消毒・除菌・感染防止対策など、今までの常識とは異なるスタイルが浸透しました。また、購買行動に関しては、今まで仕事も日々の生活もリアルで行っていたものがオンライン(デジタル)に置き換えられるという大きな変化が起きました。そしてもう1点、BeforeコロナとAfterコロナでは、「車の所有」に対するユーザーの考えがどのように変わったのでしょうか。

下図は実際のファクトデータですが、「新型コロナウイルスの影響であなたの車の購入・買い替えの意識が変わりましたか」という設問で、「延期あるいは中止」と答えた人が6.9%だったのに対し、「購入・買い替え」と回答した人は12.2%でした。コロナ禍においては、購入・買い替えへのポジティブな反応が見られたのです。

ここで、時系列で新車販売台数の推移を見ていきましょう。2019年と2020年の新車販売台数を月別で比較できるようにグラフ化しました。コロナの影響が出始めた2020年の4月〜5月頃は、2019年と比較して大きく販売台数が減少しましたが、10月以降より前年越えで回復を見せ、現在もそれが続いています。この結果から、完全に回復トレンドに入っていると言えるでしょう。

ここまでは外部環境の変化について解説しました。これより、引き続きコロナの感染拡大が続いている環境下において、カーディーラー様がどのようなデジタル化対策に取り組んでいるかを見ていきましょう。

Q:2020年度デジタル化を進めた項目について当てはまるものをお選びください

この設問に対して回答の9割を占めたのが、社内会議や研修、つまり、コミュニケーションのオンライン化です。対策のメインは社内活動が中心で、いわゆるデジタルマーケティングやセールスなど、社外向けの対応は半数以下にとどまりました。

Q:今後、強化を考えている取り組みについて当てはまるものをお選びください

この問いでは、「デジタル化への対応の強化」「顧客情報集積と活用」の2点がもっとも多くの回答を集めました。多くの販売店様で、お客様のデジタルデータをどのように活用して次の販売につなげていくか、データ活用への意識が高まっているようです。そこで、デジタル化を進めるにあたり、現在どのような課題感をお持ちか伺いました。

Q:貴社のデジタル化における現状の課題について当てはまるものをお選びください

大多数を占めたのが、「自社の社員を多くがデジタルツールをうまく活用できない」という回答でした。ここまでご紹介した3つのアンケート結果をまとめると、大きく二つの傾向が見えてきます。

1点目は、昨年は新型コロナウイルスへの対応を迫られた1年であり、多くの販売店ではまず、社内間コミュニケーションや事務領域でデジタル化に着手されたということ。販売店様は一般のお客様と直接接することが多いので、社内における感染症対策の徹底、そして万が一、社内で感染者が発生しても、安定的に事業が継続できる体制作りに取り組まれたようです。

一方で、デジタル化の推進は、戦略的な導入ではなく、環境変化に適応することが目的であったため、攻めのマーケティング・攻めのセールス領域のデジタル化については一旦後回しをせざるを得なかった。これが2点目のポイントです。

これらの結果を踏まえ、私どもは顧客のデジタル化がさらに進み、マーケティング&セールス領域のデジタル化へは今年から本腰を入れて取り組むことになると考えています。実際に、当社とお付き合いいただいている多くの販売店様もデジタル化を拡大されています。

デジタルマーケティング&セールス領域に置けるKSF

本講演のメインは、マーケティングやセールス領域のデジタル化についてですが、それ以外の経営全般領域や新規事業の領域、事務領域においてもデジタル化が必要です。本章では、「既存事業領域」についてお話をさせていただきます。

デジタルマーケティング・セールス領域において、KSF(Key Success Factor:重要成功要因)になるのは何か。当社では、「ファーストコールカンパニー」がデジタル時代におけるキーワードであると考えています。当社で考えるファーストコールカンパニーの要件は次の2つです。

1つは、「デジタル上で顧客に最初にタッチできるか?」。多くの販売店様が様々なデジタルマーケティング施策を実施されておりますが、ターゲットとなるお客様に対して、デジタル上で最初にアプローチができるかがカギです。ユーザーが検索した際に、最初に目にするという状態を作らなくてはなりません。

もう1つが「その企業に共感できるか?」です。タッチをすることは最低条件であり、その上で企業に対して「この企業は良い」と共感を持っていただくことです。

最近では、車購入を目的に訪問した店舗数が平均1.2店舗と非常に少なく、今後も減少するlことが予想されます。そのうえ、コロナの影響でイベント、展示会など、リアルの施策が実施できない状況が続いており、仮に実施できたとしても、密を避けるために1イベントあたりの集客数を限定しなくてはなりません。そのため、昨今、ますますこの2つの要件が重要性を増しているのです。

これらを理由として、店舗やイベントに来場いただく前段階としてのデジマ領域が主戦場になっていくというのが当社の考えです。ここで、実際にユーザーがどのように考えているのか、ユーザーサイドの声を直接聞いてみましょう。

 Q:自動車の購入において、今後も実際の店舗での活動として残るであろうと思うことを教えてください。 

「現物を確認すること」と「試乗」に関しては、50%以上の方がリアルで体験したいと答えている一方で、情報収集や比較検討については、わざわざリアル店舗に行く必要はないと考えているユーザーがほとんどでした。また、他国と比較すると、日本ではオンラインセールスやオンライン商談が最近広がってきたばかりですが、外部のアンケート調査では45%ほどのお客様がディーラーへ訪れず、オンラインで自動車の購入を検討すると回答しています。

まとめますと、過去にはセールス領域が大多数を占めていましたが、昨年以降はコロナの影響も受け、ブランディング活動やマーケティング活動における重要度は大きく変わりつつあるということです。

デジタルマーケティング上のKSF

デジタルマーケティング上のKSFについて重要なポイントは、「原則は、STPに紐づくマーケティング戦略の一貫性」「その上で、トリプルメディアの最適化」の2つです。

「STPに紐づくマーケティング戦略の一貫性」

STPとは、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング、それぞれの頭文字をとったもの。市場ではどのように分類分けされており、そのうえでどのお客様を狙うべきか、ターゲットを明確に設定する必要があります。そして、そのターゲットに自社をどう捉えて欲しいのか、他の企業との差別化要素がどこにあるのかなど、ポジショニングの戦略を構築します。これが基本的なSTPの考え方ですが、事例を踏まえながらもう少し詳しく説明していきましょう。

山形トヨタ自動車様という企業様の事例

山形トヨタ自動車様は複数のターゲットを設定しており、そのうちの1つが子育て世代のママです。そこで、ユーザー層を広げようと、2017年から子育て世代のママ向けに向けたさまざまな活動を開始しました。ターゲット直球の「–子育て世代のママさんを応援するためのサイト–ちょっとよりみち山形トヨタ」というLPを作成したり、SNSを通じて日々、情報提供を行ったり、イベントに誘致してファーストコールを獲得したりしています。

昨年度はコロナの影響でリアルイベントの実施が困難な状況になりましたが、「ご自宅でハーブが香るバスソルトづくり」など、Zoomを使ったバーチャルイベントを展開しています。直近での進捗・実績を述べますと、同社がメインのSNSとして運用しているLINEの会員数は現在6,500名ほどのターゲットユーザーが集まり、3~4年の期間をかけて徐々にターゲットの囲い込みができているようです。

「トリプルメディアの最適化」

ここでは、重要な戦略の一つとなるトリプルメディアについて解説します。

「Paid Media」とは、企業が媒体に費用を払って広告を掲載する従来型のメディアを言い、ひと昔前では聞の折り込み広告や看板が、今で言うとweb広告がこちらに該当します。次が「Owned Media」。これは自社で所有するメディアを指し、自社のホームページなどが該当します。最後の「Earned Media」は、SNSやブログなど、ユーザーの情報の起点となるものを言い、信頼や評判を獲得するメディアとして名付けられたものです。

先述した山形トヨタ様の事例で言いますと、ターゲット向けにホームページ上で専用LPを作り、そこからSNSなどを通じて情報を発信していますので、Owned MediaとEarned Mediaをうまく組み合わせた事例だと言えるでしょう。どれか一つのメディアに注力することも重要ですが、これら3つのメディアをそれぞれ最適化して訴求し、ターゲットにより多く見てもらうことで大きな成果が得られます。有効なデジタルマーケティングを実施するには、3つをうまく連携させる仕組み作りや工夫が非常に大事なポイントとなります。

セールス活動のオンライン化

ここからは、セールス活動のオンライン化について解説していきましょう。

繰り返しになりますが、Beforeコロナのユーザー行動は、①事前に企業のホームページやSNSなどを閲覧したうえで、②実際の店舗に訪問し、営業担当者方から詳しく話を聞いたり、商談を進めたりするのが一般的でした。

しかし現在は、エリアによって状況は異なりつつも、コロナの影響でイベントに参加する、店舗に直接訪問することに対し、ユーザーが少しセンシティブになっているという側面があります。そのため、リアル店舗へ訪れる一歩前のプロセスとして、山形トヨタ様でも実施されていたバーチャルイベントで興味・関心を惹きつけたり、オンライン商談で一度接点を持っておいたりすることで、ユーザーの熱感を上げ、リアル店舗での商談へと誘引する流れを作る必要があります。こうしたステップを設ける販売店様も増えていますし、オンライン商談で成果を出している事例も複数ございます。

ここで重視すべきは、下図中央部にあるオンライン商談の前後です。そもそも、オンライン商談件数をどのように伸ばすのか−−−つまり、どのようにしてオンライン商談へ誘引していくか。現時点においてはオンラインのみで完結しない商談がほとんどかと思いますが、勝ちパターンへ導くには、その後工程のプロセスにつなげる施策を考えなくてはなりません。商談前後のストーリーを構築し、一気通貫で取り組んでいきましょう。

欲しいものがどこでも買える時代だからこそ

現代は、商品の差別化が非常に困難を極める時代です。それを前提として考えると、ファーストコールカンパニーの2つ目の要件のように、自社に共感をしてもらうことがさらに重要性を増してきます。言い換えると、「なぜこのお店で買うべきか」「なぜこのお店で買っていただくべきなのか」をお客様に分かる形で伝え、そこに共感いただくことが何よりも重要だということです。これらのメッセージをデジタル上でしっかりと伝えていきましょう。

具体的な実践事例

ここまで、リブ・コンサルティングの考え方や概念、重要なポイントについて述べさせていただきました。ここからは数々の企業様の成功事例をあげてご紹介させていただきます。

まずは、第二章の最後の中でお話させて頂いた、「なぜ当社で買っていただくべきなのか」をどう発信すべきか。参考となる情報発信の事例についてご紹介します。

【事例】魅力的な会社/店舗/スタッフ紹介(ネッツトヨタ北九州様・ネッツトヨタ南国様)

ネッツトヨタ北九州様とネッツトヨタ南国様は、ホームページ上で自社の強みや、自商圏にある他の販売店と比較してどこに優位性があるかなど、差別化ポイントについて明記されています。着目すべきは、トヨタの販売店として、自社の技術力の高さが確実にお客様に届くように専門ページを設置しているところです。また、ネッツトヨタ南国様は、店舗訪問にはハードルの高さがあると考え、店舗スタッフの人柄やお店の雰囲気がよく分かるスタッフ紹介ページをホームページに設け、気軽に訪れやすい雰囲気であることを伝えています。

【事例】ターゲットニーズに合わせた見せ方(ネッツトヨタ福岡様・IDOM様)

こちらはターゲット目線に合わせたホームページやLPで囲い込みに成功された事例です。

ターゲットのニーズに合わせた専門ページを作り、ターゲット目線で車種を紹介されています。女性のお客様、とくに若い方をメインターゲットとして設定しているため、車の比較や車を買う際のポイントなどをわかりやすく簡潔にまとめています。

【事例】ニーズに合ったLP設計事例

次に紹介するのは、ターゲットに合わせたイベント設計で来場予約を獲得している事例です。

画像の上部に目を向けると、「ファミリーカーの購入を検討されている方はここをクリック」など、はっきりとターゲットが記されていますね。それぞれ専用のLPを用意し、ターゲットのニーズに合わせた情報を提供し、そこから自社で開催しているイベントに誘引をするといった導線設計がスマートな事例です。

【事例】SEM広告における先行優位性

自社ホームページの強化、改善だけではなくて、ペイドメディアのSEM・SEOの領域に関しても販売店様で強化が進んでいます。

SEMにおいては、「地域名×車種名」で検索されるお客様が多くいらっしゃいます。「横浜市×ハリアー」というように、車種やボディタイプ、地域などでキーワードを指定して上位に広告表示できる設定は、すでに多くの販売店様で実施されていらっしゃることでしょう。しかし、これだけでは競争が激化する中で勝つことは困難です。勝利を獲得するためには、多くの企業様でアプローチできていない未開の地、先行優位性のあるマーケティング領域へと舵を切らねばなりません。

たとえば、「かっこいいSUV」「燃費のいい車」など、ターゲットユーザーが検索するであろうワードを想定し、検索キーワードに指定します。そして、実際にユーザーが検索をしたときに、自社のホームページが上位表示されるように仕掛け、より多くのターゲットユーザーに自社ホームページへ訪れていただくのです。当社がご支援先の企業様でも、改善前は「試乗予約」「カタログ請求」のキーワード設定でコンバージョンが月20~30件程度だったのに対し、改善後は毎月100件以上のコンバージョンを獲得している事例が出ております。

ここでのポイントは、自社が今後どのようなターゲットを獲得していきたいかを明確にすることです。限られた時間とコストの中で、自社のターゲットの特徴・特性を具体的に描き、どのように行動するか、車を買う時にどんなキーワードで検索をするのか、どのような情報を求めているのかを深掘りして施策へと落とし込んでいきましょう。

“デジタル人財”の育成

最後に一点、少し本日の講演内容から外れてしまいますが、デジタル化を促進するために重要なお話をさせていただきます。当社では、ご支援している多くの販売店様から、「デジタル人財を育てるには?」「デジタル化の担当者がいない」といったご相談を受けることが多くあります。もし、現在、社内でデジタル領域に強い人材がいなくても、デジタル化は必須ですし、そこへ向けてデジタル人材の育成に注力していくべきかと思います。デジタル人材の適合を見極めるには、次の5つの項目で判断が可能です。中でも赤字で記載しました重要項目である「トレンドや業界外への興味関心の強さ」変化への適応力」、この2つの必須条件について解説させていただきます。

今、ご自身が担当している仕事から大きな変化が求められますので、変化への適応力が強い、変化への耐性がある方をデジタル人材として育成していきましょう。一部では、4月入社の新卒者をこのポジションに迎え入れようと考えている販売店様もいるようですが、むしろ、これまでの固定概念を突破して柔軟な考えを持っている人の方が強い推進力を発揮すると考えています。

私たちリブ・コンサルティングがいつでもサポートをさせていただきますので、この2つのポイントを満たす人材をぜひ、社内で育成していきましょう!

まとめ

本日は、この激しい競争環境の中で、新規顧客をいかに獲得していくかを軸にお話しさせていただきました。デジタル化への対応は、既存のお客様の代替えや通常のCR活動にも必須です。情報をキャッチアップしながら、自社独自の戦略やデジタル化の対応を着実に進めていきましょう。

弊社でも今後、多くの販売店様がマーケティングセールスの領域において新しい成果が一つでも多く出せるよう、精一杯サポートさせていただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

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