スマートシティで注目されている「都市OS」とは?

スマートシティで注目されている「都市OS」とは?

各都市でスマートシティ化が具体的に進むにつれ、「都市OS」について議論がなされるようになりました。OSと聞くと、スマホやパソコンのイメージを思い浮かべる人が多いと思いますが、都市OSとは具体的にどのようなもので、どのような役割を担っているのでしょうか?

各都市でスマートシティ化が具体的に進むにつれ、「都市OS」について議論がなされるようになりました。OSと聞くと、スマホやパソコンのイメージを思い浮かべる人が多いと思いますが、都市OSとは具体的にどのようなもので、どのような役割を担っているのでしょうか?

スマートシティに必要不可欠な都市OSとは

政府が発表しているスーパーシティ構想の中でも「AIやビッグデータを活用し、社会のあり方そのものを変えていく都市」と提唱していますが、柔軟性、効率性、そして経済性を満たすスマートシティを実現するには、様々な技術とデータの活用が欠かせません。

それぞれの地域における社会課題を解決し、あらゆるデータをもとにデータドリブンな社会を構築する。その際に重要な基盤となるのが都市OSです。都市OSとは、その都市にあるエネルギーや交通機関をはじめ、医療、金融、通信、教育などの膨大なデータを集積・分析し、それらを活用するために自治体や企業、研究機関などが連携するためのプラットフォームのことを指します。

都市ごとの単位で考える “部分的”な活用ではなく、1つの共有可能なデータとして、都市と都市が、または都市と企業が、相互間にデータやサービスの連携を可能にすることで、より快適かつ効率的な社会になります。しかしそのためには、あらゆるデータを一つにまとめ、なおかつ仲介するような仕組みが必要です。都市OSは、その重要な役割を担う基盤なのです。

スマートシティ化への課題とそれを解決する都市OSの要件

日本版スマートシティの実現に向けて、直面すべき課題は、①サービスの再利用と横展開、②分野間のデータ利活用、③拡張性の低さの3つ。

1) サービスの再利用と横展開
もともと分野や企業、組織ごとにシステムを構築しているため、他地域への再利用、横展開が現時点では困難。

2) 分野間のデータ利活用
現在は各サービスが分野や組織ごとに展開されており、データが独立した状態のため、分野間を横断した新サービスの構築ができない。

3) 拡張性の低さ
システムが個別化しているため、機能拡張によるコストや労力が膨れ上がり、継続的かつ容易にサービスを進化させることができない。

このような課題を解決するために、次の3つの要件を備えた都市OSの設計が進められています。

都市OSを構築する3つの要件

1)相互運用(つながる)
地域内外のサービス連携や各地域における成果の横展開を可能にし、つながりやする仕組み。共通の機能や標準的なインターフェイスを具備し、外部に公開できるようにすることで、他都市や企業などとスムーズな連携を可能にすること。

2)データ流通(ながれる)
さまざまな分野や組織の垣根を取り払い、連携できる仕組みづくりを行うこと。各々の地域では地理空間、パーソナルデータ、各種統計データなど、非常に幅広いデータが蓄積されます。そうしたさまざまなデータをひとつの共有された論理的なデータとして、地域内外でデータが流れやすくする仕組みを作る必要があるのです。

3)拡張容易(つづけられる)
地域が解決すべき課題や目指す将来像、スマートシティリファレンスアーキテクチャの更新に合わせて、機能拡張や更新を容易に行えるよう、都市OSが継続的に維持・発展を続けるための仕組みのこと。機能間の疎結合なシステム構築により、必要な機能だけを柔軟に拡張・更新できる仕組みが必要とされています。

各地域の社会課題を解決するポイントは、統計データや自治体のデータ、個人が持つパーソナルデータ(仕事、病歴、介護、趣味嗜好、生活などにまつわるあらゆる情報)を掛け合わせてサービスを連携したり、マッチングさせたりできることです。その地域で暮らす人々が長く、安心して住み続けるには、地域の特性や個人の課題などに合わせた新たなサービスの展開、利用率によってサービスの拡張ができるような仕組みづくりを行わなくてはなりません。そのためにも、オープンかつ柔軟な連携が可能な土台を構築する必要があるのです。

日本では都市OSがどこまで実現しているのか?

海外ではすでに実装が進んでいる地域もありますが、国内では富山市、川崎市、加古川市、高松市、福岡市、沖縄県など、いくつかの地域で都市OSの実証実験が行われている段階です。

日本国内のいくつかの都市で導入されている都市OSに「FIWARE」というものがありますが、これは欧州連合(EU)が官民連携で開発・実証した次世代インターネット基盤ソフトウェアです。FIWAREは、およそ40種のモジュールによって構成されているソフトウェアの集合体(IoTプラットフォーム)で、用途に応じてソフトウェアを組み合わせ、都市OSを構築することができます。FIWARE自体がロイヤリティフリーのため、EUや日本以外の世界各地100以上の都市で利用されているのです。

国内事例1:会津若松市

会津若松市は、行政サービスの一元化によって市民生活の利便性向上を目指し、FIWAREを活用して都市OSの構築を進めています。2020年7月には、アクセンチュアと会津大学がスマートシティの標準APIと都市OSに関する共同研究を開始すると発表。

同市では、2011年8月、復興支援活動を開始した際に復興計画の中核事業としてスマートシティを提案しており、2012年に開催した復興記念イベントではそれを構築するためのプラットフォーム、即ち都市OSを発表しています。会津若松市では先述した都市OSの要件を実現するために、多くの企業に向けて開発概要と計画をオープンにして情報を共有しています。それによって、理想とする都市OSを構築しようと考えているためです。情報をオープンにすることで、システムの重複を回避し、都市OSの重大な要素である共通化・標準化を促しています。

そうした経緯により、市民ポータルサイト「会津若松+(プラス)」が実現しました。これは会津若松で暮らす市民の登録情報などに合わせ、市内の催しや地域のニュース、学校行事に到るまで、多くの情報が1つのポータルサイトに集約されたもの。あらゆる情報を一つにまとめ、市民にとって必要で役立つサービスを提供しています。

国内事例:高松市

香川県高松市では、人口減少の克服、地域活力の工場、災害リスクへの対応など、行政のみでは解決できない課題解決を目的として、「産官学民で連携した持続的なまちづくり」を掲げ、2017年よりスマートシティへの取り組みを本格的に開始しています。そこで、課題を共有する場として「スマートシティたかまつ推進協議会」、データを共有する場としてFIWAREを活用した「IoTプラットフォーム」を整備。

高松市は課題の中でも防災と観光の分野に関して特に着目しており、同分野でデータの利活用に取り組んでいます。特に重要課題である防災においては、次のような課題が挙がっていました。

南海トラフ地震や豪雨などの自然災害対策が急務

近隣の自治体から就労・就学者が集まっているため、災害対策において近隣自治体との連携による迅速な情報共有が必要

財政は有限なため、地方自治体単独ではIoTプラットフォームやサービスの導入・運営費用が大きな負担になる

これらの課題に対し、万が一の未曾有の災害に対応する広域防災システム高度化に向けて、河川水位や護岸の潮位、避難所の開設状況など、関連する防災情報が同一画面上でリアルタイムに把握できるシステムを構築し、現在もさらなるアップデートを進めています。

まとめ

2019年8月、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が連携し「スマートシティ官民連携プラットフォーム」が設立されました。都市OSの構築、そしてスマートシティの実現には官民が一体となり、事業者、業界などの垣根を超えたコラボレーションがなければ成り立ちません。

官民が一体となり、スマートシティ化の基盤となる都市OSの構築を進めて行くことで、各地域の課題を解決し、市民に対し必要な時に必要なサービスを届け、持続可能な都市を実現することができるでしょう。

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