MaaS時代における保険の新たな価値について​

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Speakers

安藤 聡昭
安藤 聡昭
リテール商品業務部 Next Retail Project 課長代理
損害保険ジャパン株式会社
石野 真吾
石野 真吾
先進技術事業開発 ディレクター
株式会社スマートドライブ

Summary

少子高齢化に人口の減少、そして人々の価値観の変化に伴い、自動車産業マーケットが大きな変革期を迎えています。保険・サービスが万が一の時に役立つことを前提に、今後は人々の日々の暮らしに寄り添い、人生を豊かにする存在として進化すべきではないか― そうした考えのもと、時代と顧客のニーズに合わせた未来のサービスを実現するために、前例に捉われることなくチャレンジし、移動の進化とともに「保険」を進化させている損害保険ジャパン様。あらゆる人々に新たな体験価値を提供していくために必要なこととは何かをお話いただきました。

スピーカーの自己紹介

安藤2007年に新卒で損保ジャパンに入社し、神奈川県で保険の営業を担当しました。その後千葉県で自動車保険の保険金をお支払いする保険金サービス部門に所属。2017年4月からリテール商品業務部にて、テレマティクスサービスの開発を担当し、2019年4月から現任で、既存のビジネスモデルに捉われずに新たな体験価値を創造する、徹底した顧客目線の保険商品・サービスの検討・開発およびエコパートナー企業とのアライアンス構築に取り組んでいます。

続けて、SOMPOグループについて簡単にご紹介させてください。SOMPOグループでは、「安心・安全・健康のテーマパーク」を目指しています。これは、社会の中心である人にフォーカスを当て、お客様の暮らしや人生をひとつなぎに支える取り組みを通し、新しい価値を提供しながらサステナブルな社会の実現を目指という意味を込めたメッセージです。損害保険がメインではありますが、海外事業や介護・ヘススケア事業も展開し、「世界に誇れる豊かな長寿国日本を目指す」に貢献しています。ちなみに、SOMPOケアは国内の売上げで第2位にまで成長しました。
このように、安心・安全・健康をキーワードに、お客様の人生・暮らしをひとつなぎで支える意味で保険を越えた新たな領域にも果敢にチャレンジしています。

続いて私が所属している損保ジャパンについて。
損保ジャパンは新宿に本社を構え、売上げが2018年度でおよそ2兆円。そのうち60%を占めているのが自動車保険や強制保険と呼ばれる自賠責保険です。本日は移動の進化やモビリティの進化を中心にセッションが行われていますが、私たちの業界は自動車中心に回っているところもありますので、CASEやMaaSが日常化する新時代においてどのように保険を進化させるべきかについてお話しさせていただければと思っております。

石野私は今まで、Sansan、Marketo、Adobeに在籍し、新規事業の立ち上げやテクノロジーを利活用した事業変革に取り組んできました。現在はスマートドライブの先端技術を用いて、パートナー企業様との共創による事業開発に取り組んでおります。事業開発という観点では、エンドユーザー様の視点に立つことを大切にしていますので、入社時に自動車を購入し、自動車保険も含めた顧客体験をしてきました。今回はそうした実体験をもとに活きた議論ができるのではないかと期待しております。それでは早速、よろしくお願いいたします。

市場環境の変化への対応

安藤石野さん、保険はぜひ当社へ…。早速、本題を進めさせていただきます。
人口減少や急速な少子高齢化、指数関数的に進化するデジタル技術、大規模自然災害の常態化に加え、お客様の生活スタイルや価値観の変化により、保険業界全体を取り巻く環境は大きく変わってきました。

持続的な成長を促すためには、このような未来や変化をいち早く捉え、それに対応する商品やサービスをスピーディに提供していかねばなりません。さて、みなさんはVUCA(ブーカ)という言葉をご存知でしょうか。これは、今のような時代を象徴する言葉として、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という言葉たちから誕生した言葉です。

保険業界においても、このような先行き不透明な時代を見据えた進化が必要だと私たちも強く感じており、当社グループが130年の歴史のなかで培った経験をもとに、今後想定されるリスクをビジネス機会と捉えつつ、安心・安全・健康に資する最高品質の商品・サービスを提供していきたいと考えております。

安藤このような進化に対し、実際にどのようなサービスを展開しているのか、事例をいくつかご紹介します。『THE すまいのハザードマップ』は、お住いの地域における地震発生確率、洪水時の想定浸水深、土砂災害危険箇所など、自然災害リスクを可視化した、独自の総合的ハザードマップサービスです。お住いの地域の自然災害リスクを正しく理解していただくために、2018年4月より提供を開始しました。

また、今後の超高齢化社会を見据えて、2018年10月よりSONPO 認知症サポートプログラムをスタート。高齢者の増加に伴い、認知症患者も増えていくと言われています。認知症を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、少しでも認知症の進行を遅らせる、または認知症に備える。たとえ認知症になってもその人らしく生きられるような社会を実現するためのサービスとして展開しています。

続いて紹介するのは自動車関連の事例です。
私たちは保険会社ですが、事故を防ぐことを大命題としています。そこで、お客様の安心・安全を守るため、2015年3月に法人向けの安全運転支援のサービス「スマイリングロード」といドライブレコーダーを使った安全運転支援サービスをスタートしました。導入前と比較して、本サービスを導入した企業全体における事故件数が20%減少したという実績がございます。

また、当社では「ポータブルスマイリングロード」という無料のカーナビアプリも提供しています。このアプリは高精度なカーナビ機能だけではありません。スマホのセンサーを活用した運転診断機能を搭載しており、この診断機能を通してスムーズな運転をしている、要は事故が起きにくい運転と判断されれば、保険料が最大20%割引きされるという国内初のテレマティクス保険も付随しているのです。また、直近ですと、ドライブレコーダーを活用した個人向け自動車保険の特約をリリースするなど、テクノロジーを保険と連動させる取り組みを積極的に行っています。

石野保険会社の提供するテレマティクスサービスは最近市場に浸透してきたイメージもありますが、2015年からサービスを開始されていたとのことですから、かなり早いタイミングからサービスを展開されてきたんですね。

安藤時代の変化にはスピード感を持って対応することが重要ですから、迅速にサービスへと落とし込み、業界に先駆けていち早く展開しています。

続いては、LINEを活用したサービスを2つ。
スマホで保険金請求から支払い手続きまで30分で完結できる、LINEのサービスです。従来は必要な書類の送付や手続きを踏む必要があるため、事故の発生からお客様の手元に保険金をお届けするまで2~3週間近くかかっていました。私たちとしてはこれが通常だと思ってしまいましたが、お客様の視点に立つと、こんなに時間がかかるのか、面倒臭いな…と思われてしまう。

LINEは国内月間アクティブユーザー数が8200万人もいますし、生活インフラとして幅広い世代に定着しているアプリです。私たちはより身近な立場としてお客様を支援すべく、LINEチャットを活用した独自のシステムを開発しました。チャットでコミュニケーションをとりながら修理の見積りや車の損害写真を送付いただき、請求から支払いまでを最短で完結する。このように、ユーザー視点に立った、新しい体験を提供しています。また、同じLINEを活用したサービス展開として、LINEほけんを2018年にリリース。入りたいときに最短60秒で保険に加入できるお手軽・安心なサービスとして好評を博しております。

MaaS 移動の変化への対応

石野こんなに短いスパンで、簡単に加入できる保険やサービスが続々と誕生していたんですね。とくに、モビリティ分野においては損保ジャパンが先頭を切って新しい保険サービスを開発されています。私も本イベント前にLINEほけんを試しに利用してみました。驚いたのは、画面割れや故障、水漏れなどを保障するスマホ保険が無料で入れること。みなさんもぜひ、ご活用いただければと思います。

さて、ここ数年、MaaSをはじめ、移動の変化が注目されつつありますが、損保ジャパンさんはどのようなお取り組みをされているのでしょうか。

安藤「移動の変化」というテーマで欠かせないのが、CASEとMaaSという2つのキーワード。
技術革新の観点でCASEが、移動革命の観点でMaaSが、昨今、バズワードとして注目されるようになりました。当社の売り上げは60%が自動車領域ですので、これらの領域の中で新しい価値を提供できる何かしらの取り組みを考えなくてはなりません。

では、新たなモビリティ時代に向けて、どのように取り組んでいくべきか。今後、CASEやMaaSが社会に浸透し、自動車に限らず多様なモビリティやサービスが世の中に誕生していきます。それに伴い、消費者の行動や価値観、ライフスタイルも大きく変わっていくでしょう。すでに車は所有から使用の時代へシフトしつつありますし、このような時代の変化を踏まえて私たちは次の3つの軸で価値を提供していきたいと考えております。

1つは、パートナー企業様との共創。今は一社で立ち向かうことが非常に困難な時代であると感じておりますので、あらゆる産業のパートナー企業とともに新たな価値を創っていくべきだと考えております。

2つ目がデジタル技術です。冒頭でも述べましたが、新しい技術が指数関数的に誕生していますので、こうした新しい技術を積極的に活用し、ニーズに合わせた新たなサービスを展開していきたい。

3つ目が、蓄積したデータ・知見です。私たちは130年以上の積み重ねてきた保険の知見を有しておりますし、提供しているテレマティクスサービスや自動車保険からお客様のデータ、移動データ、走行データ、さまざまなデータを蓄積しています。このデータを活用すれば、事故が発生しやすい地点がどこか、急ブレーキ・急ハンドル・急発進などの危険走行が多い地点はどこかが把握できますので、知見と掛け合わせて、事故を防ぐための高精度なリスクマネジメントやリスクコンサルティングをお客様に提供できるようになります。

このように、私たちは保険の枠を越え、前例に捉われない発想で、お客さま中心のサービスを展開し、MaaSのこれからを支えていきたいと考えております。MaaSは実証実験のみで終わらせず、社会実装をしていかないと意味をなしません。ですから、社会実装するまでサポートできるビジネスを目指していければと思います。

安藤実際に、MaaSの領域では上記のような形で参入しています。
自動運転、CtoCのカーシェアリング、マイカーリース事業、そして、駐車場シェアリングまで、自動車保険で培った強みを活かし、昨年から加速度的にさまざま領域にチャレンジしているところです。有力パートナーと共創し新たな事業へ参入することでさらなる成長を目指し、なおかつ、MaaS領域への事業拡大を見据えてプラットフォーマーへの戦略投資を本格化させています。

自動運転領域ではティアフォー様、アイサンテクノロジー様と業務提携し、自治体や事業者向けに提供するインシュアテックソリューション「 Level IV Discovery 」の共同開発を進めております。さらに、DeNA社と協業し、個人間カーシェアリング事業とマイカーリース事業の合弁会社を設立しました。いずれも、私たちのネットワークを活用しながらビジネス展開を推し進めている事例です。

MaaS×保険

石野さまざまな切り口でMaaSに取り組まれているのですね。移動の変化がより複雑に変化していく中で、損保ジャパンさまは保険という切り口でどのように進化されているのでしょう。

安藤先ほど少し触れましたが、社会環境やお客様の趣味趣向が急激に変わりつつあります。それに高齢運転者による交通事故の増加、交通事故を避けるための免許返納者の増加、CASE、MaaS、そしてお客様の消費行動の変化、さまざまな要素が絡まっていく。このような右往左往の変化の中で、私たちも保険はどう変わっていくべきかを考えています。本日はその一例をご紹介させてください。
ここで質問です。石野さん、自家用有償旅客運送ってご存知ですか?

石野始めて耳にしました。どのようなものか伺えますか?

安藤自家用有償旅客運送とは、過疎地などの公共交通が整っていない“交通空白地帯”にNPOなどが自家用車を用いて提供する運送サービスのことです。

たとえば、山奥や人里離れた地域。路線バスやタクシーが入ることが難しいため、高齢者や障がいを抱えてらっしゃる方の移動はタクシーを呼んでも1〜2時間待たなくてはならなかったり、家族の運転で移動しなくてはならなかったり、非常に困難を極めますし、ご家族の負担が増えてしまう。私もさまざまな地域の自治体様にお話を伺いますが、皆さまこの問題は非常に深刻だと仰っています。しかも、1つ2つではなく、日本全体で見ても相当数の地域で問題になっているのです。

そういった地域において、国交省の登録を受けた市町村やNPO法人が自家用車を使って有償で運送するのが自家用有償旅客運送です。私がマイカーで石野さんを目的地までお届けし、石野さんから運送の対価を実費の範囲で頂戴するというイメージです。実費というのは、ガソリン代や高速代ですね。

日本では、道路運送法第78条で自家用車を使用して人を運んで対価を得てはならないというルールが敷かれていますので、UberやLyftのようなライドシェアサービスは現状、日本では展開できません。しかし、このケースの場合は、申請することで国が例外的に許可を出しているのです。マイカーとタクシーの中間みたいな形で、一般の自家用車と第一種運転免許で移動の支援ができますし、定期路線ではないため、行きたい時に行きたい場所へ連れていける。私たちはこの自家用有償旅客運送に対し、課題に応じた保険を提供しました。

それが、2019年7月より提供を始めた移動支援サービス専用自動車保険です。
たとえば、私のマイカーで自家用有償旅客運送を利用した石野さんを病院までお連れすることになったとしましょう。車に乗っていただき、いざ出発。注意はしていたものの、道中で思わぬ交通事故に遭遇してしまいました。この場合、私個人が加入している自動車保険を使うことになりますが、そうなると自動車保険の保険等級や割引に影響し、翌年の私の保険料が上がってしまいます。善意で行っていることなのに、万が一の際は自分の保険が傷む。そのような懸念点やマイナス点があるとなかなかサービスの拡大に踏み出せず、課題が解決できないままになってしまうのです。

そうした悩みを伺い、「では、どのような仕組みにすれば解決できるのか」と頭を捻らせて開発したのがこの保険。万が一の事故を想定して、移動支援サービスを提供している事業様や運営者側が加入できる保険であり、事故が起きた際はこの保険を適用する。そうすることで、運転を請け負うドライバーも運営者も安心できるサービスとして構築しました。地方にはまだまだ数多くの課題がありますので、個々の課題を解決できるソリューションをアライアンス企業とともに検討しています。

MaaS×保険   これから必要なこと

石野自家用有償旅客運送を広義に捉えると、国内でもライドシェアの対応が一歩ずつ、進んできたと言えるのではないでしょうか。
課題ドリブンで新たな保険が開発・提供されているご姿勢は大変参考になりますし、モビリティサービスを提供する事業者も、さまざまな移動の変化によって生じる新しい課題に対して、スピーディーに対応し、サービスを提供していくべきかもしれません。今後としてはどのような展開を検討されているのでしょうか。

安藤目まぐるしく変化するこの時代において、今までのような「何をどう提供しよう」という売り手視点では、これからの社会で生き残ることは難しい。これからは従来の手法・考え方をすべて切り捨て、「お客様に対しどのようなメリットや価値を享受できるか」という買い手視点で商品やサービスを考えていくべきでしょう。私は商品開発のチームに所属していますが、検討を重ねるにつれて、「あれ?お客様はどこに行ってしまったの?」ということが、往々ありまして…。

お客様を中心に据えること、お客様のためのサービスであることを常に念頭に置き、お客様中心のサービスを構築する。常にお客様の視点に立ち、お客様が本当に求めているものは何かを考えるのです。とはいえ、実際に「何が欲しいですか」と聞いても、明確に答えられる人は多くありません。お客様自身、欲しいものが何かを分かっていないことも多いからです。そのため、深層心理で何がお客様にとって価値なのか、何が求められているのか、実際にお会いしてヒアリングしたり、さまざまな取り組みを重ねたりしながら理解を深め、サービスに落とし込んでいくべきだと考えています。

石野今おっしゃったことは、本セッションにおいて非常に重要なポイントと言えるのではないでしょうか。国内で行われているMaaS関連の実証実験においても、稼働率や経済合理性が合わないと言われることがありますが、消費者や利用者に使い続けてもらうには、もしくはなくてはならないサービスという観点でサービス設計やプロダクト改善をしていかなくてはなりません。

安藤そうですね。私たちは、お客様を中心に考えるには、お客さまからリアルな声を聞くべきだ。ということで、昨年、お客様数十人にヒアリングをさせていただきました。今日は一例をご紹介させていただきます。

左はおもに、車を所有されていない方にお話しを伺ったときのお客様の深層心理、インサイトです。マイカーを手放した方は、やむなくして手放している方が多く、「マイカーを持てるなら、やっぱり持っていたい」というお客様が多くいらっしゃいました。次に多かったのが、自分にとって合理的な移動手段を選択したいというもの。たとえば、旅行に際し、カーシェア、レンタカー、親や友人に車を借りるといった選択肢の中で、自分にとって何が最適かが分からないと。

また、このインサイトは非常に興味深かったのですが、それほど不便ではないけれども、諦めていることは存在するという方が想像以上に多くいらっしゃいました。これは、マイカーを手放したことで、維持費やリスク、負担は減ったものの、「行きたいときに、すぐに行ける」「自分だけの空間がある」といったマイカーのメリットも一緒に手放してしまったということ。モビリティサービスは不便ではないけど、どうしてもマイカー時代と比べると諦めたことが多くある、そういう声があがっていました。

MaaS時代に突入すると、モビリティサービスで使い分けて移動する方が増えますが、その一方で、諦めや不満が出てきてしまう。この部分、お客様が深層心理ではどんなことを思ってらっしゃるのかを探りながら、それに対応する商品・サービスを開発することが重要だと感じています。

右に羅列したのは、自動車保険に関する課題認識です。ここは私たちの仮説通りでしたが、「保険って難しいから考えたくもありません」「自分にとって何が必要かよく分からない」「わからないから言われたまま入る」「加入している保険を知らない」さらには「保険に興味ありません」なんて少し悲しい意見もございました。保険についてはあまり知らない。でも、「無駄な保険料は払いたくないよね」。これはみなさん同じ意見かもしれませんね。

このように、自動車保険はお客様にこのようなイメージを持たれているため、わかりやすい・簡単・身近というポジティブなメッセージを発信していく必要がある。その点を早急に解決することで保険に対する興味やイメージをガラッと変えていきたいですね。

石野冒頭お話しましたように入社前に自動車を購入しましたが、実は、初めて所有を体験しましたので、初めて保険に加入するときは、非常に言いづらいですけど何が何やらという感じで…。「項目ごとにどう金額が変わるのか」「そもそも保険会社によって何が違うのか」「どんな補償内容があるのか」ネットなどで情報を得ても、正直わかりずらいというのが正直な感想でした。お客様視点での保険、今後の進化に期待をしています!

MaaS時代の保険のあるべき姿とは

安藤来たるべきMaaS時代に「保険はどうあるべきか」を私たちは常に考えています。最後に、MaaS時代の保険のあるべき姿と題して、3つのキーワードをここにあげました。

パーソナライズ

お客様の価値観は多様化していますので、数あるサービスやコンテンツから自分に合ったものを選択させるより提案してあげることが重要になっていくと考えています。同じ目的地に向かうにしても人によって移動時間や手段も異なりますし、趣味嗜好も十人十色。

自動車保険に関していえば、おそらく私も石野さんも初めて入るときは基本的に同じ料金というのが今の通例ですが、お客様の心理を理解したうえで提供しているかと問われると、そうじゃない気がするのです。ですから、お客様の行動や移動、趣味趣向などをデータで捉え、個々のお客様に合ったパーソナライズな補償、サービス、保険料を考えていきたい。それにはテクノロジーの力が必要ですから、さまざまな企業とアライアンスを組みながら実現したいと思っています。

付加価値

MaaSはサービスとしてのモビリティを提供することですが、ただA地点からB地点まで移動させるだけでは、サービスとしての魅力が感じられません。今後は移動という体験の中で、新しい価値、付加価値の提供が求められてきますし、差別化要因につながるでしょう。

どのような価値が求められるかについては、お客様しかわからないことですので、ヒアリングなどを重ねてお客様の真理を理解し、形にしていきたい。昨今、SDGsやエシカルといった新たなワードが生まれていることから、付加価値の中でも社会課題を解決する、社会に貢献することが必ず求められると思いますので、その点も踏まえて検討していくつもりです。

コネクテッド

人と人、人とモノ、モノとモノ、今後さらにさまざまものがつながる時代になっていきます。こうしたデータを活用し、お客様一人ひとりの特性をしっかりと捉え、価値を生み出していく必要があります。

これら3つのキーワードを軸として、新しいお客様への体験価値の創出へ取り組みたいと考えています。「保険会社=万が一のときに助けてくれる」というイメージがまだまだ強いと思いますが、それは当たり前のことであって、万が一のSOMPOから、“なくてはならない”SOMPOになるよう、私たちも進化していかねばならないと考えています。損保ジャパンはブランドメッセージで、「保険の先へ、挑む」と掲げています。まさに今、保険の枠にとらわれずに、保険の先に挑んでいくことを体現しているのが私たちのチーム。このメッセージを目標として、新たな価値をお客様に提供すべく、突き進んで行きたいと思っております。

まとめ

石野素晴らしいプレゼンをありがとうございました!残りのお時間が5分となりますが、質問がたくさんきているようですので、質疑応答の時間を設けたいと思います。パートナーとの共創というところで、「もう1社だけでなんでもできる時代ではないんだな」というコメントがいくつかありますね。そのほかにも、次のような質問をいただきました。

質問パートナーとの共創が各社で深まるほど、各社の存在定義、守備範囲が曖昧になっていくのではないかなと感じております。その境界って、どのように決めていくべきor定まっていくべきだとお考えでしょうか。

石野共創するうえで、実際にどこまで・誰が・担当するというのはよく問題に上がるところです。大事なのは、先ほどの顧客視点ではありませんが、いかに早くその課題に対して対応できるか。私自身は「どこまでがどっちだ」と言い合っているようでは、まだ共創の段階ではないと思います。ですから、どこまでが誰がやるかという守備範囲を決めるのではなく、相互にできるところを支え合いながら事業を前に進め、お客様の課題解決へとつなげる。つまり、スピーディーにトライしていくことが重要だと考えています。

安藤私も石野さんと同じ意見です。共創は共に創ると書きますよね。「誰のためにそれをやるのか」が大事なことであり、同じ目線でお客様に価値を提供することが大事になってくると思います。境界ばかりを気にするのではなく、一緒に新しい価値を創出し、お客様に喜んでもらう。それが私たちの喜びにもなりますし、その視点が何よりも大事です。

質問新型コロナウイルスの流行によって、車両管理が行き届かないシェアリングはかなり影響を受けると思うのですが、損保ジャパンとして何か今後の見通しがあればお話しをうかがいたいです。

安藤なるほど。新型コロナウイルスの影響はあらゆる産業にさまざまな変化を起こしていますし、そこに対して保険業界として何ができるのかを検討しているところです。現段階では具体的にお話しすることはできませんが、問題を解決するためのソリューションやアイデアをひねり出している最中、とだけお伝えさせていただければと思います。

安藤お時間になりましたので、ここでまとめの言葉を述べさせていただきます。本日は、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました。先ほど申し上げました通り、保険業界もさまざまな社会の変化、お客様の生活スタイルの変化に伴い、進化をしていかなければならないと認識しておりますので、「保険の先へ、挑む」をしっかり体現していきたいと思います。

石野本セッションを通して、消費者や利用者に利用し続けられるサービス・プロダクトにするに、は、顧客視点とスピード感が重要だと感じました。私たちもさまざまな企業様と協力しながらお客様の課題を迅速に解決していきたいなと思いました。御社の今後の展開を非常に楽しみにしていますので、今後ともよろしくお願いいたします!

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