IoT/AIを活用した物流の未来とは? -業務効率化の具体的な方法を紹介-

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Speakers

弘中 丈巳
弘中 丈巳
CRO
株式会社スマートドライブ

Summary

[当ページは2020年8月6日に開催されたセミナーのレポートです]

働き方改革、ホワイト物流、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など、業務効率化への取り組みは、大手企業だけでなく中小企業でも行われていますし、物流業界だけでなく全産業で「待ったなし」の状態で進んでいます。
では、具体的にどのようにして変革していけばよいのでしょうか?

移動体からデータを収集・解析、利活用までを一気通貫で支援しているスマートドライブからは、CROの弘中丈巳がIoTを活用した物流の可視化と業務効率化について解説しました。当日のセッション内容をレポートへまとめました。

皆様こんにちは。スマートドライブの弘中と申します。本日は私から「IoTを活用した物流の可視化と業務の効率」についてお話させていただきます。

スマートドライブについて

スマートドライブは「移動の進化を後押しする」をビジョンの掲げ、モビリティデータの価値を最大化することに注力している企業です。ビジネスモデルはデータのインプット、アウトプット、プラットフォームと3つの領域で展開しています。

データのインプット:私たちが提供しているシガーソケット型のデバイスの他にも、温度センサやその他の移動体からデータを収集しています。

プラットフォーム:インプットによって各所から集まったデータを蓄積し、価値へと変換します。「他の業界のデータとかけ合わせて価値を生み出す」「他のシステムを掛け合わせて価値を高める」ことなどを行っている領域です。

データのアウトプット:上記の枠組みの中で、私たち自身が収益性が高いと見込んだものは、自社でサービス化をしています。現在は、BtoBのクラウド車両管理システム「SmartDrive Feet」、BtoCの運転見守りサービス「SmartDrive Families」BtoBtoCのドライバーエンゲージメントサービス「SmartDrive Cars」、そして移動データを収集するMobility Data Platformの4つを提供しています。

モビリティデータとは

そもそも「モビリティデータ」とはどういったものなのか、紹介させていただきます。

こちらはスマートドライブで開発しているシガーソケット型のデバイスになりますが、このデバイスは、シガーソケットに挿すだけで、すぐにデータの収集が可能となります。シガーソケットですので、デバイスを他のドライバーの方に付け替えることや、「協力会社さまの管理を行いたいが、車に工事ができない」というようなケースでも、問題なくデータの収集が可能になります。

またもう一つポイントは、このデバイスにはSIMが入っているため、このデバイス自体が通信するということです。後からスマートフォンで作業しなければいけない、などといった面倒が発生しないということもポイントです。挿せば3秒でデータ収集が開始できる。これが我々のデバイスの特徴です。

では、先ほどから「データを収集する」と申し上げているデータとはいったい何なのか。これは大きく分けると2つございます。

1つが車両の動態データと呼ばれるもので、いわゆる加速度のデータです。車のどこに重力がかかっているのかという情報から、急加速・急減速・急ハンドリングといった車の操作を判断しています。
2つ目が車両の走行データです。これは、GPSのデータをもとにして、「車は今どこにいるのか」「同じ場所で4分以上動いていないものは、アイドリング中である」などを判断しています。また、GPSを利用して、車の走行開始、終了、アイドリング、走行時間、走行距離といったものを取ってきています。

こちらは、それらの取得したモビリティデータを弊社のクラウド車両管理システム「SmartDrive Fleet」で見たときの画面です。地図上に「走行開始」とかいてある部分からスタートし、終了マークのところで「走行終了」し、この場所では〇時に急加速している。こういったことが一目で分かるようになります。この地図を拡大すればどういう道路だったのかもわかりますし、Google Mapと連動していますので、実際の道路の写真情報とも合わせて確認することができます。

IoTを活用することのメリット

続いて、今回のテーマである「IoTを活用することのメリット」について。ここは既に皆様ご認識されていることかもしれませんが、2点だけメリットをお伝えさせていただきます。

人間が手作業で実施していたことの自動化

手作業で実施していたことが自動化されるということは、ドライバーや実際に業務をする方にとって非常に重要なメリットだと思っています。SmartDrive Fleetの中でお客様から非常にご好評頂いている機能の一つも、日報の自動化です。今までは業務日報に「何時~何時まで、どのお客様に訪問していました」という情報を、紙やエクセルに記載しなければならなかったものが、IoTデバイスを車につけているだけで、車が止まった位置情報を自動で取得し、どのお客様に訪問していたかを自動で入力してくれるようになります。

何かメモ情報を残したい場合も、最近ではスマートフォンの音声入力などを利用して、その場で今日のメモを入力し、すぐ次の現場に向かえる。これはIoTの大きなメリットではないでしょうか。

人では取れない細かく正確なデータが収集される

SmartDriveデバイスでは、GPS情報を1秒に1回収集し、加速度情報については0.1秒に1回収集をしています。こういったデータは、人が集めようとして集められるものではありません。IoTデバイスを利用し、人力では難しい細かなデータを収集するからこそ、より精度の高いアウトプットが出てくる。これも一つのメリットだと思っています。

IoTを活用しているお客様事例

IoTを活用する事例として、弊社のお客様事例を紹介させていただきます。

事例①:アナタコとの併用活用

こちらの企業様は、連携している協力会社様がアナタコを利用しており、運行情報をタイムリーに把握できず、お客様への納品時間調整や待ち時間の削減などに課題をお持ちでした。状況を解消するためにデジタコの導入も検討されたのですが、デジタコでは導入費用も数千万円規模になってしまい、かつ「今どこにいるのか」というリアルタイム性がそこまで高くないことから、他に利用できるものが無いかを探していたのです。

SmartDrive Fleetを導入いただいてからは、デバイスを挿すだけでデータを収集することができるようになり、おおよそ3年間のトータルコストの削減が可能になりました。協力会社さまの移動データをIoTデバイスで収集することによって、「待ち時間で待っているのか」「移動中なのか」といった情報を把握されています。また副次的な効果として、いわゆるホワイト物流に向けて、きちんと運転時間にインターバル時間を設けているのかや、正しい賃金をお支払いできているかといったことを、車の移動データから推測する、といったこともご支援させて頂いております。

事例②:3PL(3rd Party Logistics)企業での滞在時間可視化

幹線配送を中心としたBtoB事業をコアとする3PL事業者さまの事例です。

こちらの企業様では配送する物量ベースでの契約をされているのですが、業務を二次発注している協力会社の「待ち時間」がとても長く、稼働時間ベースで考えると割に合っていない、という課題をお持ちでした。そうした課題に対して、作業時間の合計や作業時間の平均などを算出し、かつ実際どのくらいの待ち時間、滞在時間が発生しているのかというのを可視化していきました。

その結果、この企業様では一日当たり約3時間分の請求可能時間を可視化できました。仮に時給3000円とすると、3000円/時間×22営業日×3時間=20万円弱の請求が発生します。

これは適正な業務時間を証明するためにご利用いただいている例でしたが、他にも経由地点やバース、作業場といった情報を登録しておくことによって、地点ごとの滞在時間を可視化することもできます。そうすることで、例えば「xxバースは待ち時間がすごく長い」「毎週月曜日は拠点Aは平均で2時間待たされる」等の情報が蓄積されていき、配車計画を見直したり、ドライバーの方に事前にアナウンスをするといったことも出来るようになってきます。

事例③:配送ドライバーの人員最適化

この企業様での課題は、ドライバーによって配送量や走行距離、労働時間に大きく差があり、生産性にバラつきが発生していたことです。さらに、移動距離が長いドライバーは配送時間に間に合わせるため運転が荒くなってしまうという問題意識もお持ちでした。

そこで、SmartDrive Fleetを利用してドライバーの生産性の平均値を算出するとともに、安全運転しているかを加速度のデータから読み取る”G-Force Map”で可視化。合わせて、本当に生産性の高い顧客のところへ訪問しているのかを判断するため、一日あたりの訪問回数や訪問先別での作業時間の平均時間を抽出しています。

そうすることで、人件費がどれくらい削減できるか算出できますし、より効率のよい移動をすることで燃費削減にも繋がります。この企業様の場合は、削減できた燃費分をドライバーの方に還元する形を取っていたため、ドライバーの方にもメリットがあるものとなりました。この活動は、会社のCSR(エコドライブ活動)としてのPRにもなっております。

また、こちらは参考情報なのですが、更なる配送コストの圧縮に向けて、「配送先やそれ以外の地点でのアイドリング時間を可視化」、「配送ルートの最適化」にも取り組んでいます。配送ルートを可視化するためには、配送地点をルート最適化のAIに取り込み、どういう回り方をすれば一番効率がいいのかを条件をつけながら組み合わせていきます。そして、ルート最適化前の走行距離、走行時間と、ルート最適化後の走行距離、走行時間を比較して、どのくらいパフォーマンスが改善されそうかというシミュレーションを行う。このようなご支援をさせて頂くこともございます。

今回の事例ではモビリティデータ、移動データをメインに扱っておりますが、移動データ以外にも、例えばお客様との取引情報、配送分類や納品物、商品別の出荷量、商品銘柄…こういった情報も走行データと掛け合せて分析することが可能になっています。

走行データに様々なお取引情報を掛け合せて分析することによって、仕入れ先ごとの粗利、売れ筋商品、不要な商品など、POSや在庫管理システム以外の視点からも抽出することができるようになります。「走行データとこのデータを掛け合せると、面白いかもしれない」というご発想は、ぜひ皆様に一度お持ちいただければなと思っております。

事例④:荷主 / 大型スーパーの事例

最後の事例です。こちらは大型スーパー様での配送の事例なのですが、協力会社様の配車、配送計画をベテランの勘と経験がある方々が組まれていました。これをシステムを使うことによって、他の社員も代理で計画を組めるようしていきたい、ということでお問い合わせを頂きました。

今までは基礎情報を確認し、いわゆる”秘伝のエクセル”といわれる代々語り継がれている職人芸のようなエクセルに情報を入れ、その後目検でチェックして「行ける・行けない」という判断をし、配車計画を組んでいました。

ここをすべてデジタル化・データ化しまして、予定計画確認をグラフ化し、実績は走行データから自動で入力され、この計画は正しかったのかという検証を回していく、ということ行っております。システムで予実管理をすることで、実際の細かい部分は把握できていなくても「恐らくこの配車計画は成り立つだろう」「これは難しいだろう」などの判断を誰でも出来るような体制を構築されました。

今お伝えした4つの事例以外にも、物流×IoTの事例というのは非常に多くございます。こういった資料も皆様にお役立て頂けるかと思いますので、お時間ある際にぜひご確認ください。

スマートドライブが手掛ける分析サンプル

次に、我々がモビリティデータをつかって解決できうる課題というのを、まとめておりますので紹介させてください。

モビリテデータの活用によって貢献できる課題を大きく分けると、「売上増加」「コスト削減」「CSR推進」がございます。さらにブレイクダウンすると、営業活動量を上げるもの、車両削減するもの、保険料を削減するもの、働き方改革、エコドライブ、などが並んでおります。

例えばエコドライブという観点ではどういう取組みをしているかというと、給油データや給電データを提供頂くことによって、電費、燃費のシミュレーションをさせて頂いております。最近はEV車両も増えてきておりますので、ガス車両とEV車両の比率が変わったときに、どのくらいCO2削減、ゼロエミッションが達成できるかというシミュレーションを出させていただいたり、ガス車、ハイブリット車、EV社がそれぞれどのくらいCO2を出しているのかというものを分析している事例もございます。

そして先ほども少しお伝えした通り、モビリティデータというものは、他のデータと掛け合せることによってものすごく価値が大きくなるようなデータです。営業活動データ、マーケティングのデータ、人事のデータ…など様々なデータをモビリティデータと掛け合せることができます。

例えば人事データで言いますと、「この方は安全運転管理者か」「過去に事故を起こしていないか」といった”結果”の評価だけではなく、安全運転スコアのような「日頃から運転に気を付けてくれているかどうか」という”プロセス”を評価するために、我々の仕組みと人事評価システムを連動させる、というケースもございます。

その他にも、事故情報や生体情報、車両情報、観光情報、こういった情報からモビリティデータの価値を大きくするということに取り組んでいます。

物流という文脈ですと、顧客データ、配車データ、集荷データ、などとの掛け合せがイメージがつきやすいかと思います。例えば、到着が遅れそうなときに自動アラートを出したり、配車のマッチングを実施したり。バース管理と連携することによって、トラックが近づいていることをバースにいる方に通知が飛んでいったり、逆にバースが空いた時に近くのドライバーさんに自動で通知を飛ばしたり。こうしたものを実現しております。

データを活用するために

本講演の最後のテーマとして、データを活用するために必要な考え方や組織体制について、お話させて頂きます。

データを企業内で活用していくために、我々が一番重要だと思っていることが、データを収集して加工、整形し、そうして初めて分析が可能になり、インサイトでメリットが得られる、というデータの流れです。

まずはこの前半部分である、データ収集~整形について。ここはあまり価値としては大きくはないにも関わらず、非常に多くの時間がかけられています。そこで、スマートドライブではこのデータの収集~整形という部分を一気通貫でできるような仕組みを構築し、お客様はデータ分析とインサイト取得に専念して頂けるようにしています。

次に、この最後部分のインサイト取得。ここで非常に重要になってくるのが、DX(デジタルフォーメーション)していくということです。

DXをするときに考えなければいけないのは「事業のデジタル化」「ビジネスプロセスのデジタル化」の2つ要素です。事業だけがデジタル化してもオペレーションがデジタル化されなければどうしても片手落ちになってしまいます。事業のデジタル化によって効率がよさそうな仕組みが出来上がっても、それを販売、マーケティング、営業、運用するプロセス…このあたりがデジタル化されなければ、ギャップが出てしまってい上手く機能しません。「事業とビジネスプロセス」この双方をデジタル化するということを考えておく必要があります。

そしてこの双方をデジタル化するときに必要になってくる要素が4つ。AI、BigData、CustomerExperience(お客様がどう動くのか、という行動経済学みたいなもの)、DesignThinking(現状に無いものをどう作っていくかという発想力)です。「事業とビジネスプロレス」の2つに上記4つの要素を掛け合せていくことによって、DXは推進されていくと考えております。

私からの講演は以上となります。
ご清聴ありがとうございました。

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